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鬼平深読み帳

「太陽にほえろ!」の名脚本家・小川英(おがわえい)。最後の“鬼平”作品「迷路」が登場!

第6シリーズ第9話の「迷路」は、スペシャルにふさわしい主要キャラクターが総出演した作品である。物語は義兄弟の仇として平蔵への復讐を誓った、裏の世界の顔役・猫間の重兵衛が、平蔵に関わりのある人間たちを次々に殺害していき、平蔵は窮地に立たされるというもの。レギュラーの同心や密偵たちに加え、岸井左馬之助や平蔵の息子・辰蔵、笹屋のお熊も登場し、まさに総力戦でこの一件の探索にあたる。重兵衛を演じた石橋蓮司が巨悪の存在感を見事に表現し、今度ばかりは平蔵危うしという雰囲気がある。それだけにすべてが終わって、ラストに同心、密偵が揃って平蔵を役宅に迎える場面は、まさに大団円と呼ぶにふさわしい。

この見事な脚本を書き上げたのが、小川英(おがわえい)だ。小川英は70年代の刑事ドラマの名作「太陽にほえろ!」で、約15年に及ぶシリーズ全718話の脚本監修を担当した名シナリオライター。時代劇でも中村梅之助が演じた初代・金さんから『遠山の金さん』シリーズに関わり、他にも『大江戸捜査網』、『銭形平次』など長寿シリーズの脚本を書いている。この中村吉右衛門版『鬼平犯科帳』でも記念すべき第1シリーズ第1話「暗剣白梅香」を皮切りに、おまさが初登場した「血闘」、井関録之助が初めて出てくる「托鉢無宿」、平蔵が絶体絶命の危機に陥る「本門寺暮雪」など、ファンにとっては忘れられない名エピソードの脚本をいくつも書いている。「迷路」が放送される前年の4月に小川英は64歳で亡くなっていて、これが彼にとって最後の“鬼平”作品になった。そういう意味でもこのエピソードは、キャラクターの描き分け、サスペンスフルな展開、これが最終話となってもおかしくない全キャストが顔を揃えるハッピー・エンディングまで、小川英がキャリアをすべてぶつけたような充実した内容になっている。昭和のTVドラマを支え続けた小川英の最後の入魂作「迷路」を、是非多くの人に観ていただきたい。