●映画版で長きに渡り、“仕事よりも釣り!”な釣りバカ会社員・ハマちゃんを演じてきた西田さん。テレビドラマ版では、三國連太郎さんが演じた「鈴木建設」社長・スーさん役を演じますが、最初にオファーを受けた時の感想は?
映画が終了した時点で、僕の中では『釣りバカ』とは決別したつもりでいましたが、松竹の皆さんから“テレビでやったら、またそれなりの新しい表現ができますかね”という相談を受けたんです。ハマちゃん役を濱田岳さんが演じると聞いて、僕も彼の感性のキラめきには以前から着目していたので、それは素晴らしいキャスティングだなと。そうなると自分の欲求が高まってきましてね、“俺がスーさんやってもおかしくないな”みたいな気持ちになってきたのね(笑)。そんな中で、正式なオファーを受けるにあたって、スタッフさんとのお食事会があったんですけど、もう~そのごはんが美味しくて…。大変おいしい食事だったので“即OK!”ということになりました(笑)。

●濱田さんの印象はいかがでしたか?
最初に彼を見た時“ちょっと緊張してるかな?”という感じは読み取れたので、ここはひとつ声をかけて、お互いにリラックスしないといけないなと思いました。僕もスーさんを演じるのは初めてだし、天下の三國連太郎が演じた役を頂くわけですから、自分のモチベーションを上げるためにも濱田くんに声をかけなければいけないなと。彼としっかりと見つめ合って、“僕だって緊張してるんだよ。三國さんの役を、スーさんをやるんだからね”と話して、お互い心境を吐露することでリラックスできたかなと思います。濱田くんは、若いのに僕らの話題にもちゃんとついてきてくれるし、どこか世代ギャップを埋めてくれるようなところがあるんですね。若い俳優さんたちとのシーンでも、僕を孤立させないためにスペースを取って気づかってくれたり…。彼といるとつい別れがたくなって、2人で一杯飲みに行くこともありますよ。クレーバーで、優しさを持っている愛しい子なんです。デビューしたてのマット・デイモンみたいな感じがありますよね。褒めすぎかしら?(笑)でも僕はジャック・レモンって言われたいなぁ~。

●映画版は22年も続く国民的人気作へと成長しました。作品の魅力はどこにあると感じていますか。
最初に“釣りバカ”のお話を頂いた時は、“『男はつらいよ』との2本立てで1作で終わります”みたいな感じだったので、期待も何もなく、現場でも肩の力が抜けていたと思います。“笑かせてやろう”“面白くするぞ”という気負いもなくて、ただただ一生懸命やるだけでした。まさか22年も続くとは思いませんでしたし、三國さんはいつも“今年で最後だね”と言いながらスーさんを演じていましたね。スペシャル感はないけど、そこにはいつも美味しいご飯とささやかなおかずがある…。“釣りバカ”はいつもそんな感じで、僕の心の中にいました。監督が“人間をしっかりと描きたい”というところにベクトルを置いているので、僕たちはそのベクトルに向かっていくだけで、とってつけたような笑いは必要なかったんですね。自然発生的に生まれる何ともいえない笑い…松竹伝統の笑いとでも言いましょうか。あとは、ハマちゃんとスーさんの“あり得ない設定”ですよね。大会社の社長と働く意欲ゼロの男が“釣り”という趣味の中で師弟関係になり、立場が逆転してしまう。これがサラリーマンの人たちにとっては、ある種のカタルシスになったんじゃないかなと思います。

●映画版で長年連れ添われた三國連太郎さんとのエピソードがあれば聞かせてください。
現場では、“スーさん、ハマちゃん”と呼んでいましたし、心を砕いてそういう空気感を作って下さった三國さんは、キャパシティが大きい先輩だったなと感じます。僕は子どもの頃から三國さんの映画を観ていて、その頃の作品のほとんどは、三國さんが本当に嫌なオヤジを演じていたんですね。まぁ陰湿で嫌な役でね~。子どもながらに三國さんのお芝居にのめり込んで、「大きくなったら、必ずあいつを殺す!」みたいな気持ちでいました(笑)。まさかあの三國さんが、スーさんみたいな角の取れた好々爺を演じるとは思ってもみなかったですね。“ご機嫌を損ねたらすぐに帰っちゃうよ”という逸話も聞かされていましたが、“釣りバカ”の現場には、毎回にこやかな表情で入ってこられて…。ありがたかったです。

●テレビドラマ版では、西田さんの魅力が爆発したスーさんが見られますが、演じる際に何か意識されている点はありますか。
ドラマでは平成の企業になっていますから、自分では、三國さんが演じたような“ワンマンなスーさん”ではなく、民主的な要素を持った社長の方がいいかなと思って演じています。重役の具申に耳を傾ける社長でありたいけど、どこかで社長なりの意地もあるような感じでしょうか。あと、基本的に僕が演じるスーさんは恐妻家なんですね。私は私生活でもそうなので、実際妻にもよく怒られていますし、謝り方は上手いんですよ。怒られたらすぐ謝る!これ鉄則です(笑)。

●最後に視聴者の皆様にメッセージを!
1日過ごして、ちょっとお疲れ気味の頭と神経を休めるためにテレビをつけたら、“バカなことやってるな~”という感じで笑って頂けると思います。幅広い世代に楽しんで頂けると思うので是非、ご覧ください。

【ホームドラマチャンネル】
釣りバカ日誌 新入社員 浜崎伝助 伊勢志摩で大漁!初めての出張編
(単発)[CS初放送][HD]

濱田岳と西田敏行が釣りバカコンビを熱演した人気シリーズドラマのスペシャル版!
ハマちゃんの初出張は三重県伊勢・志摩。予期せぬ珍事件が巻き起こる!
★放送日:4/2(日)後8:45~11:05
☆再放送:4/30(日)後9:00~11:20

【衛星劇場】 映画「釣りバカ日誌」シリーズ放送中!
「釣りバカ日誌10」
『釣りバカ日誌』10周年記念作。シリーズ第11作。
☆放送日:4/8(土)後1:00~、4/17(月)前11:00~

花のお江戸の釣りバカ日誌
『釣りバカ日誌』時代劇バージョン・スペシャル版。
☆放送日:4/4(火)後8:30~、4/21(金)前11:00~
     4/29(土)後9:00~

ホームドラマチャンネルYouTube〈公式〉
西田敏行YouTube 限定コメント公開
https://www.youtube.com/
watch?v=5h4HwLcp6JQ

《西田敏行 プロフィール》
‘47年11月4日福島県生まれ。B型。
‘67年、『渥美清の「泣いてたまるか」』で
俳優デビュー。
ドラマ「池中玄太80キロ」映画「植村直己物語」
など、代表作多数。
4月スタートのドラマ
「釣りバカ日誌 Season2 新米社員 浜崎伝助」
(テレビ東京系)、 映画「ナミヤ雑貨店の奇蹟」
(’17年9月23日公開予定)にも出演する。

ヘア・メイク:野中真紀子(eclat)

釣りバカ日誌 新入社員 浜崎伝助 伊勢志摩で大漁!初めての出張編