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鬼平深読み帳

ファンの熱い声によって復活した、第9シリーズが放送スタート!

1989年に放送を開始した中村吉右衛門主演の『鬼平犯科帳』は、98年の第8シリーズまで約10年の長寿作品となり、連続ドラマとしては一旦終了した。しかし再会を望むファンの声は高く、それに応えて復活したのが2001年の第9シリーズである。その第1話はスペシャルで放送された「大川の隠居」。これは役宅から平蔵愛用の銀煙管が、今は友五郎の名前で船頭をしている元盗賊・浜崎の友蔵に盗まれたことに端を発して、江戸と上方の盗賊一味が手を組んだ、大掛かりな計画が明かされていくというもの。池波正太郎の原作から『大川の隠居』と後日談を綴った『流星』を合体させた内容で、かつて第1シリーズのときに「流星」のタイトルで一度映像化されている。さらに今回は妖艶な女賊・掻掘のおけいも絡ませて、話を広げているのが特徴だ。

平蔵の煙管を人知れず盗み出す、本格派の盗賊・浜崎の友蔵に扮した大滝秀治の渋い名演が光るエピソードになっている。船頭をしているときに大滝本人が歌う『千住節』の、枯れた味わいも格別。第1シリーズでは犬塚弘がこの役を演じたが、こちらも盗みの業に誇りを持つ盗人を見事に演じていた。因みに萬屋錦之介版の時に友蔵を演じたのは有島一郎で、松本白鸚版では進藤英太郎。いずれも名バイプレイヤーとして知られた俳優ばかりで、船頭にして盗賊といういくつもの顔を持つ友蔵のようなキャラクターは、演じる俳優にも業が必要なのがよくわかる。

またこの「大川の隠居」を監督したのは小野田嘉幹。小野田監督にとって『鬼平犯科帳』シリーズは、松本白鸚版からメイン監督として関わってきた、言わばライフワーク。この第9シリーズの第4話「一本饂飩」が、その小野田監督最後のシリーズ演出作になった。シリーズでは盗賊たちの滅びの美学を追求し続けたという小野田監督が、最後のシリーズでどんな盗賊たちを描き出したのか。作品の世界を知り尽くした名監督の演出も堪能していただきたい。