機能リンク
  • 加入申し込み
  • 会員登録
  • 番組表

鬼平深読み帳

ファン必見の名場面集に登場する、白子屋菊右衛門にも注目!

第8シリーズの最終話「さらば鬼平犯科帳」は、一旦終了を迎えたレギュラー・シリーズ最後の作品で、現在では番外編としてカウントされている。というのも京都へ父親の墓参りのために出向いた平蔵が、その帰路に鈴鹿峠で崖から落ちて死亡したという報告があり、平蔵不在の中で同心や久栄、密偵たちが平蔵の想い出話をしていくという、異例の展開だからだ。彼らの想い出として登場するのは「血頭の丹兵衛」、「本所桜屋敷」、「血闘」、「むかしの男」、「むかしの女」、「托鉢無宿」、「本門寺暮雪」、「笹やのお熊」、「兇賊」、「泥鰌の和助始末」、「熱海みやげの宝物」、「盗法秘伝」、「一本眉」、「敵」、「蛇の眼」。さながら名場面集といった感じで、鬼平ファンには懐かしいシーンが次々に現れる。

またオリジナルの物語では、平蔵不在の江戸に進出しようとする、大坂の黒幕・白子屋菊右衛門の動向が描かれる。白子屋と言えば『仕掛人・藤枝梅安』シリーズにも登場する、梅安最大の敵。今回のエピソードでは金田龍之介が、憎々しく白子屋を演じている。白子屋役は小林桂樹が梅安を演じた80年代のTVシリーズでは、新国劇の重鎮・島田正吾が演じたが、その後の白子屋俳優にはちょっとした因縁があるのを御存知か。95年に公開された「劇場版 鬼平犯科帳」で“白子屋”ならぬ“白子の菊右衛門”に扮したのは藤田まこと。そして90年代の渡辺謙が梅安を演じたTVシリーズで、品があって凄みも充分の白子屋を平幹二朗が好演した。藤田まことは言わずと知れた『剣客商売』の秋山小兵衛が晩年の当たり役。その藤田が体調を崩し、08年に明治座の公演を休むことになった時、代わりに小兵衛を演じたのが平幹二朗で、つまり白子屋をやった二人が秋山小兵衛も演じているのである。人生経験豊富で世の中の酸いも甘いも噛み分けた小兵衛と、世の表と裏を知り尽くした白子屋菊右衛門。そのキャラクターにこそ違いはあるが、こういう役は人間的な奥行きを感じさせる、藤田まことや平幹二朗のような名優でなくては演じられない役なのだろう。そんな白子屋に想いを馳せながら、この名場面集を楽しんでいただきたい。