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鬼平深読み帳

高杉道場で学んだ、平蔵の剣友が登場するエピソード!

第8シリーズ第6話「おれの弟」は、平蔵の高杉銀平道場時代の弟弟子・滝口丈助が、高杉道場の跡目争いに巻き込まれていく物語。渡辺裕之が丈助に扮し、刀研ぎ師の妻との愛も絡めて、苦悩する剣客を好演している。また丈助に対して卑劣な行為に出た相手に怒りの刃を向ける、平蔵の迫真の立ち回りも見どころとなる。

第8シリーズには滝口丈助の他にも、かつて平蔵やその親友・岸井左馬之助と共に『高杉道場三羽烏』と剣の腕を称えられた長沼又兵衛が、盗賊の頭として登場するエピソード「同門対決」もある。ここで平蔵が若き日に剣の腕を磨いた、高杉道場に絡むシリーズのキャラクターを整理しておこう。第1シリーズ「本所桜屋敷」には、平蔵と左馬之助が道場に通っていた頃に想いを寄せていたおふさが、盗賊の一味として彼らの前に現れる。すっかり悪女に変貌したおふさを目の前にしながら、いまも彼女を思い続ける左馬之助の純情が胸をつく名エピソードだ。平蔵の4歳下の弟弟子で、現在は気ままな托鉢坊主として日々を送る井関録之助が初登場した「托鉢無宿」(第2シリーズ)には、録之助が弟のように可愛がっていた同門の菅野伊介が、録之助を狙う殺し屋として出てくる。第4シリーズの「うんぷてんぷ」では、平蔵が弟弟子・池田又四郎と23年ぶりに再会。だが彼は盗賊の一味になっていて、又四郎は惚れた女のために斬り死にすることになる。第6シリーズの「おかね新五郎」に出てくる浪人・原口新五郎も、昔は平蔵と道場で剣を交えた仲間。新五郎は娼婦だったおかねとの間に娘を設けていたが、その娘が殺されたことから彼らの運命が狂っていく。

原作では他に、高杉道場時代の平蔵が田沼意次邸で試合をした時、審判をしたのが『剣客商売』の秋山小兵衛だったという記述が『寺尾の治兵衛』にあるが、残念ながらこれは映像化されたことがない。池波正太郎の三大シリーズは時代順に『剣客商売』、『鬼平犯科帳』、『仕掛人・藤枝梅安』という流れになっていて、“鬼平”に梅安シリーズの巨悪・白子屋菊右衛門の名前が出てくるように、キャラクターが微妙にリンクしているのも面白いのだ。