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鬼平深読み帳

平蔵と過去から因縁のある盗賊たち!

第8シリーズ第2話「瓶割り小僧」は、捕えられても「自分は盗賊ではない」と白を切る石川の五兵衛を、彼の少年時代を知っている平蔵が、過去の出来事を語りながら自白に追い込んでいくもの。梅津栄や佐藤蛾次郎など、個性的な脇役陣の顔ぶれも楽しい作品である。また“猫どの”を印象的に描く野上龍雄の脚本だけあって、ここでは“猫どの”が軍鶏鍋の作り方を講釈する場面が登場。それによれば「酒一、醤油一、みりん二、秘伝のだし汁四に、笹がき牛蒡を水にさらして入れた軍鶏鍋が最高」なのだとか。

平蔵と過去から因縁のある盗賊が出てくる話は他にもある。第2シリーズ「雲竜剣」には、若き平蔵がその太刀筋を見たことがある剣客にして盗賊・堀本伯道が登場するし、他にも第2シリーズには平蔵が一緒に暮らしたこともある仙台堀のおろくが「むかしの女」に、平蔵が妹のように可愛がっていたお百が盗賊の母親として「密告」に、平蔵が盗賊の一味になる寸前に止めてくれた剣客・松岡重兵衛が盗賊の用心棒として「下段の剣」に出てきて、平蔵と再会する。また第4シリーズの「うんぷてんぷ」には、平蔵が弟のように思っていた池田又四郎が盗賊・須の浦の徳松一味になっていて、彼は惚れた女を助けるために一味と単身斬りあい、兄と慕った平蔵の腕の中で息絶える。第5シリーズ「艶婦の毒」では、京都で木村忠吾がある女と深い仲になってしまうが、この女性こそかつて平蔵とも関係があったお豊。彼女は虫栗権十郎一味の女賊で、今では敵味方に分かれた形で平蔵と顔を合わせることになる。

昔“本所の銕”と呼ばれて放蕩無頼の生活を送っていた平蔵が、その荒んだ日々の中で出会った盗賊や女たち。それが思わぬ形で彼の人生と再び交わって新たなドラマを生んでいくところに、光と影の道を歩んできた長谷川平蔵の単なる役人ではない、人間的な面白さがあるのだ。