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鬼平深読み帳

往年の新東宝スター女優、小畠絹子がゲストで登場。

「礼金二百両」は平蔵が風邪気味で後方支援に回り、第7シリーズから登場した与力の小林金弥が活躍する話。大身旗本・横田大学の息子が誘拐され、犯人は身代金として千両を要求。それだけでなく賊は、横田家の家宝の刀まで盗んでいた。事を内密に収めたい横田家では、用人の甥である与力の小林を通して平蔵に事件解決を依頼。ここから平蔵のアドバイスを受けた小林が探索を始め、刀の盗難に不審を抱いた平蔵は密偵たちを動かして、事の核心に迫っていく。無理強いと知りながら、親族から頼まれたことで横田家の要求を撥ねつけられずに苦悩する小林と、彼を温かく見守る平蔵との上司と部下の関係が印象的に綴られる一篇だ。

このシリーズには様々なゲストスターが登場しているが、その中には各業界の懐かしのスターも多い。例えば同じ第7シリーズの「毒」には、60年代のロカビリー・ブームの時に人気を集めた歌手・佐川満男が登場するし、「あいびき」には落語家で50年代にTVバラエティ『お笑い3人組』で一世を風靡した四代目・三遊亭金馬や、60年代のTVドラマ『柔道一直線』に主演した櫻木健一が出演している。そういう懐かしのスターの中でも特に目を引くのが、今回のエピソードで横田家の芳乃を演じている小畠絹子。彼女は50年代、今はなき映画会社・新東宝でトップ女優として活躍した。特に「毒蛇のお蘭」(58)を始め、その豊満な肉体と美貌を前面に押し出した、毒婦・悪女役を得意とする女優だった。61年に新東宝が倒産してからはフリーとして数々の映画やTVに出演したが、今はカメラの前から姿を消した彼女の出演作としては、これが最晩年の1本と言える。ここでは大身旗本の格式を守ろうとする女性を見事な存在感で演じていて、さすがに往年のスターと思わせる。意表をつくだけでなく、実力派の演者を揃えて物語に厚みをもたらす名キャスティング。それもまた、『鬼平犯科帳』シリーズの魅力であることを証明する、“通”好みの作品だ。