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鬼平深読み帳

密偵・伊三次が亡くなる衝撃のエピソード「五月闇」

ついにこの時が来てしまった。密偵・伊三次が命を落とす第6シリーズ衝撃のエピソード、「五月闇」が放送される。伊三次はかつて、盗賊・強矢の伊佐蔵の女房を横取りし、伊佐蔵に重傷を負わせた過去があった。その伊佐蔵が江戸で見つかり、伊三次や火盗改方が探索を始める。そしてある雨の日、伊三次は伊佐蔵に発見され、怨みの刃に倒れてしまう。死期の迫った伊三次の枕元に、平蔵を始め同心たち全員が顔を揃えている場面など、涙なしに見られない作品である。

三浦浩一扮する伊三次はレギュラー密偵の中で唯一、初回エピソードからすでに密偵となった状態で登場している。そのため彼の過去は、第2シリーズの「猫じゃらしの女」で粂八に、子供の頃女郎たちに育てられたことを語る場面はあるが、あまり描かれたことがない。ここではおまさに自分と伊佐蔵との過去を話す場面があって、三浦の熱のこもった演技に思わず引き込まれる名シーンになっている。スタッフの間でも伊三次に対する想いは深く、彼が伊佐蔵に刺される場所はロケ地に十数カ所の候補が挙がり、最終的には小野田嘉幹監督が京都・山科の随心院に決定。シーンとしても迫力あるものに仕上がった。

三浦浩一は伊三次役以外にも、85年の「真田太平記」における滝川三九郎役を始め、97年の「編笠十兵衛」の堀部安兵衛役、そして98年に始まる『剣客商売』シリーズの四谷の弥七役など、池波正太郎作品とのかかわりが深い。その中でも最大の当たり役が伊三次だろう。彼の死を惜しむファンの声もあって、第7シリーズ「五月雨坊主」では生前のエピソードという形で伊三次が復活。第9シリーズからは本格的に復活を遂げ、最終作までレギュラー出演している。伊三次の馴染みの娼婦・およねに扮した池波志乃の好演も含め、伊三次ファンには見逃せない一篇だ。