機能リンク
  • 加入申し込み
  • 会員登録
  • 番組表

鬼平深読み帳

かつてのウルトラ・シリーズ俳優が、盗賊仲間として共演!

第6シリーズの「泥亀」は、今は盗賊から足を洗っている泥亀の七蔵が、かつての自分のお頭の遺族が、生活に困っていることを顔見知りの盗賊・関沢の乙吉から聴き、遺族のためにもう一度盗みをしようとする物語。名バイプレーヤー・名古屋章が、痔持ちで人情味豊かな七蔵を味わい深く演じている。

この作品で七蔵に、貴重な情報をもたらす関沢の乙吉に扮したのが森次晃嗣。第1シリーズ「山吹屋お勝」では、平蔵の密偵という立場にありながら、昔の女で盗賊仲間だったお勝のために、死地へと赴くストイックな男・関宿の利八を好演した彼だが、ここでは火付盗賊改方の厳しい拷問にも口を割らない、筋目の通った盗賊に扮している。その後、平蔵に捕まった七蔵に「七蔵どん、あの世で会おうよ」と叫んで声をかけるシーンが強烈な印象を残す名脇役だ。森次晃嗣は萬屋錦之介版の『鬼平犯科帳』にも2度ほどゲスト出演したことがあるが、この中村吉右衛門版にはもう一度、第8シリーズの「同門対決」にも出演した。そのときには平蔵と昔、高杉銀平道場で共に剣を学んだライバルにして今は盗賊の長沼又兵衛に扮し、クライマックスでは平蔵と緊迫感あふれる一騎打ちを見せている。どれもどこかストイックな“孤影”が感じられる役柄で、そこに彼の俳優としても持ち味があるように思える。往年の特撮ファンには「ウルトラセブン」のウルトラセブンの地球での姿、ウルトラ警備隊のモロボシ・ダン役で有名な彼だが、思えば一人で地球の平和のために闘い、傷ついて故郷の星へと帰っていったセブンのキャラクターは、どこかさびしげな雰囲気漂う森次晃嗣その人が演じたことで確立されたと言える。ちなみに今回の作品で七蔵を演じた名古屋章はかつて、同じくウルトラシーズの「ウルトラマンタロウ」で、宇宙科学警備隊ZATの朝日奈隊長を演じた。盗賊仲間の七蔵と乙吉に、ウルトラ・シリーズで繋がる二人のイメージを重ね合わせると、ちょっと面白い見方ができるかもしれない。