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鬼平深読み帳

平蔵、父親との思い出の地・京都へ行く!

『鬼平犯科帳』第5シリーズの「艶婦の毒」と「駿州・宇津谷峠」は、長谷川平蔵が木村忠吾をお供にして京都へひと月、父・宣雄の墓参に赴いたときの事件を描いている。実は第1シリーズの「兇剣」も同じく平蔵が京都行きをした時のエピソードで、これらは三部作とも言える連作。時系列順に言うと、虫栗権十郎一味の女賊・お豊が出てくる「艶婦の毒」が最初で、「兇剣」の冒頭には権十郎一味捕縛のことが語られている。そして「駿州・宇津谷峠」は平蔵と忠吾の江戸への帰り道で起きる物語だ。因みに京都で平蔵に協力する西町奉行所与力・浦部彦太郎役は、「兇剣」では井川比佐志が、「艶婦の毒」では柴田p彦が演じた。この浦部彦太郎は原作だと「見張りの糸」の時に江戸へやってきて、思わぬ手柄をあげるサブ・キャラクターで、TVシリーズでも「兇剣」のときに木村忠吾を気に入って、自分の娘と結婚させようとする印象的な存在になっている。平蔵の京都行きに関して付け加えるなら、第8シリーズの最終話で原作にはない番外編の「さらば鬼平犯科帳」は、平蔵が京都からの帰り道に鈴鹿山で崖から落ちて死んだという噂が流れ、この機に乗じて大坂の暗黒街を牛耳る白子屋菊右衛門が動き出すという展開。後に平蔵の死は、菊右衛門をおびき出すためにわざと流したデマだという落ちが付く。

京都は平蔵にとってなじみ深い土地で、彼の父・宣雄は安永元年(1772年)に京都町奉行に任ぜられ、当時20代だった平蔵も妻の久栄を伴って父と共に京都に住んだことがある。ただ京都町奉行は何かと問題が多い寺社訴訟を兼ねた激務で、宣雄は在職わずか8カ月で京都の町に没した。平蔵が愛用している父の遺品の銀煙管も京都の職人が作ったもので、平蔵にとって京都の町は父を思い出させる、もう一つの故郷のような場所なのだろう。そのことを知っておくと、この京都編のエピソードがさらに味わい深いものに感じられるのではないだろうか?