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鬼平深読み帳

『インスピレイション』に乗せて綴られる、印象的な江戸の四季

「鬼平犯科帳」では、ジプシー・キングスの名曲『インスピレイション』に乗せて、江戸の四季がエンドクレジットの背景に映し出される。時代劇にスペインのミュージシャンによる『インスピレイション』がテーマ曲として選ばれたのは、シリーズが開始した当時のフジテレビのプロデューサー・鈴木哲夫が候補に挙げてきたからだとか。今ではこの曲が流れないと“鬼平”が終わる気がしないほど、作品とマッチしている。

また四季を映し出した映像も凝っている。桜が咲く春に始まり、花火が上がる夏、紅葉の秋、夜泣き蕎麦屋の屋台に人が群がる雪の降る冬と、春夏秋冬が点描されていく。ただこの映像、第1シリーズの時には撮影時期が4月下旬だったため、ロケ地の京都には桜の花も紅葉もなく、どちらも作り物だった。第2シリーズからは本物の桜の画を入れ、紅葉も先頃観光客が集まりすぎて、撮影禁止騒ぎが起きた紅葉の名所・東福寺で撮影されている。冬の場面の雪も作りもので、通常の撮影では綿と塩を雪に見立てて表現するが、ここでは広島から取り寄せた“寒水石”という石の粉と砕いた発泡スチロールを混ぜ合わせて、よりリアルな雪をこだわって作った。
 このエンドクレジットを手掛けたのは、シリーズのメイン監督でもある小野田嘉幹と、伊佐山巌カメラマン。初代・松本白鸚の時代から“鬼平”を作り続けている小野田監督は、物を前に置いた“ナメ”の画を効果的に使い、構図がしっかりした硬質な画作りが特徴。余談だが小野田監督は俳優・平田昭彦の実兄であり、第4シリーズ「掻掘のおけい」にゲスト出演した女優・三ツ矢歌子の夫でもある。方や伊佐山巌は、TVの『子連れ狼』シリーズを始め、多くの萬屋錦之介出演作の撮影を手掛け、錦之介が三代目“鬼平”を演じたときからシリーズに参加している。季節感を大事にするこのシリーズの魅力を熟知した監督、撮影のコンビによって、印象的なエンドクレジット映像は作られたのだ。